2021年2月末に制作拠点を東京から仙台市に移した。
昨今のコロナ禍の状況を鑑み、長期的な視点で取り組める機会と捉え決断した。
長らく東京を拠点にしながら、地方にて滞在制作の機会は
あったものの、故郷を起点に作品制作をする動機を探していた。
岩手・宮城の両県にまたがり、石巻湾から太平洋に注ぐ
北上川流域にまつわる言説を起点とした。
北上川流域にまつわる歴史的事象、環境的事象からとりあげ
調査進行する語彙同士と多義的に意味のざわめく展開が
北上川河口にある島、中瀬に流れ着き起きる、伴流の如く
生じる流動性として捉えたい。
プロジェクトの名称を日高見中瀬とする。日高見中瀬は北上川に
由来する日高見と北上川河口にある中瀬の名称を併せた造語である。






一四九漂礫

北上山地と奥羽山脈。成り立ちの異なる東西の山の岩石が、川で流され合流する
花巻市の川原に於いて多様な石を採取するということに着目した。北上山地は5憶年前は赤道直下にあり、プレート運動で現在の場所まで移動した古生代の地質。堆積岩が主だった土壌。奥羽山脈は2500万年前の火山活動で隆起した山。火成岩が主だった土壌になる。幼少の頃、岩石の採取に夢中で過ごした経験を基に、地質学用語を用い作られた宮沢賢治の詩文を取り上げ、その悠久の時間を辿り北上川を媒介する展開に着手した。



photo:Shoichi SUZUKI



日高見高日
果たして川に終わりはあるのか?
たとえ海に流れ込む川を
ここから目で追っていったとしても
そこに終わりはあるのか?果たして川に終わりはあるのか?
2021年8月末より奥羽山脈と北上山地の間を流れる、北上川にまつわる調査研究をしていた。北上川の流域に設置されている国土交通省管轄の無人観測所ライブカメラがお知らせする観測画像データについて調べ、情報公開されているホームページより継続的に一年間定点撮影を行う。時系列に沿って画像をつなぎ合わせることに着手した。災害時に観測装置から受け取る河川状況を、時空を超え太古より続く河川生態系と捉え記録した。記録した画像の全てを網点に加工し、河川・樹木・水際の植物と共に周囲の景観が時間の経過と共に移り還元していく粒子、日々周囲へと変容していく映像となった。 樹木が茂り並ぶ様にあらゆるものが存在している中、半意識・無意識のうち、観察している網膜の端で細切れにその姿を見、認識していくということ。いま、かくあることの根拠として、それを示した。